【16】世代研究

アクティブシニアは本当にアクティブなのか?

アクティブシニアというキーワードが一般化して数年が

経ちます。

高齢化が進展し、活動的なお年寄りが増加していると

いうことを意味しますが、

本当に活動的なのでしょうか?

今回は既成概念を疑い、Fact-Findingしてみました。


まずは総務省の実施する「社会生活基本調査」で

旅行・行楽へ出かけた比率を見てみましょう。


この調査は、生活時間の配分や余暇時間における主な

活動の状況など

の実態を明らかにすることを目的としています。

60歳以上のシニア男女が1年間に旅行や行楽

(日帰り含む)に出掛けた割合です。

男性よりも女性の方が行動者率が高いこと、

60代が比較的高い行動者率で70歳以上になると大幅に

減少していることが分かります。


そして注目すべきは、

60-64歳の男女、65-69歳男性で10年前の2006年と

比較して減少していることです。


同じく社会生活基本調査から「趣味・娯楽」を見て

みましょう。

今度は平均時間です。

1日に「趣味・娯楽」に費やした平均時間となります。

土日も、働いている人も何もかもひっくるめた

平均値ですが、傾向は掴めます。


「趣味・娯楽」も旅行と同様に、

60-64歳の男女で2006年と比較して大幅に減少して

いることが分かります。


旅行や趣味と並んでアクティブシニアの特徴として

挙げられるスポーツでも同様の傾向が見られます。




アクティブシニアの代表的な行動特性として言われて

いた「旅行」「趣味」「スポーツ」全てが10年前と

比較して減少していることが分かりました。

活動度合が減少しているということです。

何故10年間で活動量が減少してしまったのでしょうか?


考えられるのは就業率の増加です。


労働力調査によると、年代別就業率は、男性60-64歳で

2009年と比較して8ポイント増加しており約8割

となっています。

女性60-64歳も11ポイント増加の54%と過半数が

就業しています。




働く高齢者が増加しているので、これまでのアクティブ

シニアとしての代表的な時間の過ごし方である

旅行や趣味、スポーツに費やす時間が減少している

ということです。


ではなぜ働くようになったのでしょうか?

ネオマーケティングによる

「シニアの仕事に関する調査」によると



「お金を稼ぐため」が最も多く、2018年で最も多い

理由となっています。

しかも他の健康維持や人との関わりが2年前の2016年と

比較して減少しているのに対して、唯一増加している

要因です。



さらにその生計状態を「60代の雇用・生活調査」

(独立行政法人労働政策研究・研修機構)から見ると



全体の2割の高齢者が「生活が楽ではない、苦しい」

と回答しています。


アクティブシニアという言葉が出始めたのは

2005年頃、団塊世代(1947年~49年生まれ)が

定年退職を迎える時期を2007年問題というキーワード

で表現し始めてからです。

2007年から10年が経過し、

60代、特に前半の60-64歳はもはや高齢者では

なくなったと言えるでしょう。

それまでの世代と同様のライフスタイルを送っていると

捉えるべきでしょう。

さらに働く高齢者の内2割は経済状況が苦しいと

回答しています。

高齢化が進展し、高齢人口が増加していることから

マーケティングの対象としてシニア層への注目が続いて

いますが、

十把一絡げに「余裕のあるセグメント」と捉えるのでは

なく60歳以上の高齢者を更に細分化して捉えることが

大事だと考えます。

執筆者:蛭川 速 / 2018.04.23