【7】Fact Finding

働き方改革の本質

マーケティングは変化をいかに捉えて、適応するか、できるかが
成否を分けるポイントです。
私たちの生活環境は日々変化しています。

ここ5年ほどは高齢化社会、特に元気なお年寄りの存在が
注目されています。
最近だと女性就業化による食卓や家事の変化があります。
私は中高年ミドルの単身者増加が、今後は大きな変化を
もたらすのではないかと考えています。



こうした変化をいち早く掴み、潜在ニーズを探索、ニーズを
満たす商品やサービス、マーケティング活動を行うことが
求められます。

もちろんBtoCの分野だけでなくはありません。
1月20日の大統領就任から世界的に物議を醸している
トランプ大統領の大統領令も大きな変化要因です。
その是非はともかく、変化スピードが速く対応に遅れることで
大きな損失を招くことは容易に想像できます。

今まで以上に先(将来)を見通す力、シナリオシンキングが
求められていると思います。


そうした中で、日本国内の最近の変化の兆しとして、
個人の働き方の変革があります。
大手広告会社新入社員の過労自殺の認定によって加速している
勤労者の働き方を見直そうという動きです。

2017年は働き方改革元年という専門家や変革に取り組む大企業
もあります。
政府も2015年に「働き方・休み方改善ポータルサイト」を開設し、
http://work-holiday.mhlw.go.jp/index.html



社員の働き方・休み方の見直しや、改善に役立つ情報を提供しています。
厚労省では、所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進を
図る中小企業事業主に対する助成金制度も導入しています。
第3次安倍再改造内閣では「働き方改革担当相」を新設、
「働き方改革実現会議」を開き、年度内をめどに実行計画を
まとめて行く方針で取組が進められています。

こうした取り組みの背景には2008年をピークとした日本の人口
(2008年12月1日現在1億2810万人)が着実に減少していること
(2017年1月1日現在1億2686万人)

深刻な労働力人口の減少があります。
1998年末の6793万人から2015年末には2016年12月には、
6658 万人まで減少しています。

労働力人口が減少している中で、女性、高齢者、外国人などの
労働力に頼る必要性が高まり、そうした属性の社員一人一人の
生活環境やライフスタイルに合わせた
より多様な働き方の実現が要求されることになったという事です。

これまでの正社員を基準に置いた、定期定時就業、長時間労働
という既存の枠を取り外し、既成概念として見逃されてきた
「働き方」を変革しようという流れにあります。

こうした働き方改革の本質は、社員の労働時間を削減し
楽をさせることにあるのではなく、短い時間でも成果をあげる
ためにどのように行動すべきかを考えさせ、
実践させることにあるということです。

いままでは能力が低い分、効率が悪い分を長時間でカバー
してきたという側面もあると言えます。
じっくりと時間をかけて(残業手当を稼いで)成果を出してきた
ものを、短い時間でやりなさい、ということです。
実は社員にとっては厳しい要求と言えるでしょう。

資料作成のために使われてきた長時間作業や、
冗長な会議などが整理され、誰にでもできる仕事ではなく、
自分にしかできない仕事、やるべき仕事に専念する姿勢が
求められます。

こうなると政府や企業経営トップが制度を変革するだけ
ではなく、ひとりひとりが自らの仕事を見直し、仕事そのものを
再設計することが必要となります。

社員にとって、これは大変な変革が求められます。

残業は大変ですが、長時間労働をすることで「やった感」を
感じていたという事は往々にしてあります。
与えられた時間のなかで今までと同一かそれ以上の成果を出す、
ということを考えることは非常に難しいことです。

与えられた仕事を期待通りの成果を出すことより、
何を(自分が)すべきか考え、実行に移すことは、これまで
ほとんどのビジネスパーソンがやってこなかった未知の領域といえます。

経営サイドはそのことを念頭に置いて制度や生産性向上の環境を
整える必要があります。

ここに大きなビジネスチャンスが隠されていると思います。
これまで社員が行っていた作業をアウトソーシングすることも
あるでしょうし、
業務改善のためのIT投資など新たな需要も創出されます。

ホワイトカラー、ブルーカラー両面においてAIの活躍の場も
開けていきます。

AIでなくなる仕事は、単純な作業や専門知識に沿った意思決定が
挙げられます。
例えば部品を組み立てる生産現場や、弁護士や医療も含まれるようです。

こうした分野は、過去のデータを学習し意思決定に役立てることが
できるAIの得意分野と言えます。
AIの最大の特徴はディープラーニング(深層学習)という
人工知能が学習データから特徴を抽出し、自ら判断できる機能にあります。
この機能によってAIが人間社会で活躍できる幅は
それまでにない拡張を遂げましたが、
ヒトにしかできないこともあります。

それは感情を読み取るという行為です。
接客でも、営業活動でも、もちろん企画活動においても、
相手の心を読む力、それこそがヒトにしかできないことだと思います。

決して遠い未来ではない、AIと共存する労働環境において、
生産が高く働き甲斐のある仕事をどのように展開していくべきか
考えていきたいと思います。

関連して、経産省の推奨するプレミアムフライデーも同様です。

http://www.meti.go.jp/press/2016/12/20161212001/20161212001.html

働き方を効率化し消費増加を促す取組と考えますが、
本質はどこにあるのかということを考えないといけません。
単なるビジネスパーソンが月に一度早帰りする、という
現象面だけ考えたのではより多くのビジネスチャンスは得られません。
そうした時間に余裕のできたビジネスパーソンの潜在ニーズを
探索し、どのような提案ができるか?にかかっていると思います。

今後の関連商品、サービスについてもウォッチしていきたいと思います。

執筆者:蛭川 速 / 2017.02.02