【15】ワーキングウーマンの消費実態を考える

サザエさんの低視聴率を考える

皆さんもご存じ、日曜日夕方に放映されているアニメ 「サザエさん」の視聴率が低迷しているようです。


日経MJ(2016年9月30日)によると、2014年まで視聴率20%を超える回もあったものが、今年の春からは1桁に落ち込んでいるとのことです。

サザエさんは故長谷川町子さんの原作で、1969年にフジテレビジョンでアニメが始まりました。主人公のフグ田サザエを中心に、家族の日常を描いてきました。79年9月16日には、番組平均世帯視聴率で39.4%(関東地区)を記録しています。


今年に入り、リオデジャネイロ五輪や「笑点」の特番の影響もあったとはいえ、2015年以降は一度も20%を超えていないとのことです。

ライバル番組の影響も多少あるとは思いますが、それ以上に環境要因が大きいのではないかと考えます。


①世帯構成が合わない

サザエさん一家はご存知の通り、磯野家とフグタ家の2世帯住宅で3世代同居家族です。この同居家族構成が実態と乖離しているのが一つ目の要因です。



厚労省「国民生活基礎調査」から世帯構成をみると、サザエさんの放送が開始された翌年の1970年は、一般的なファミリーが多数(夫婦と子供+三世代で60%)を占めていましたが、2014年は独身と夫婦のみで50%を超える世帯となっています。サザエさんを視聴するターゲットと考えられる夫婦と子供世帯はわずか29%に過ぎません。



②母親の共感を得られない

ご存知の通りサザエさんの主人公であるフグ田サザエは結婚後も実家に入り、母であるフネと二人で専業主婦を担っています。専業主婦が二人もいて家事と子育てをしている生活が現代の母親の実態とかけ離れているのが二つ目の要因です。



女性の社会進出も進展しています。以前にも引用しましたが、共稼ぎ世帯はサザエさんが最高視聴率を記録した翌年の昭和55年に専業主婦の世帯は約7割ありましたが、平成26年には4割まで減少しています。



③生活行動の変化

個人のスマホ所有率が進展し、テレビそのものを見ない生活者が増加したことによってサザエさんが放映される日曜午後の過ごし方が変化しているのが三つ目の要因です。

総務省「社会生活基本調査」によると日曜午後のテレビ・ラジオ・新聞・雑誌の視聴時間で、サザエさんの主要視聴者と考える30代までの若年層は減少していることが分かります。



視聴時間と反対に若年層のスマホの所有率は7割を超えています。テレビを見ることからスマホで動画やゲームに興じる姿が容易に想像できます。


世帯構造やスマホの進展は、これまで当たり前と思われた生活行動を変化させていると考えます。


ちょうど、このコラムを書き始めた頃、小学館の「小学二年生」が休刊となるニュースを目にしました。

小学二年生は1925年の創刊ですので、90年も継続しているわけですが、12月の「2・3月合併号」で最後となるとのことです。



総務省「人口統計」から小学二年生となる6-8歳の人口推移をみると、確かにここ数年減少傾向が顕著にみられます。




8年前の平成18年と比較すると、26年はおよそ10%縮小しています。市場規模が1割減少するというのは大きな打撃と考えられます。

ただそれ以上に、顧客である小学二年生とその母親の生活環境の変化や情報ニーズに適応できていないことが大きな要因と考えます。



博報堂こそだて家族研究所:調査レポート(2014年11月13日付)によると
子育てに関するママ達の興味関心が最も高いのは、「子どものしつけ」ですが、情報収集している比率は低いという結果が出ています。



そしてその情報源としての「本・書籍・ムック」は低率であります。
情報収集手段(ツール)が多様化しているのに対して、内容面での価値提供が十分でないことがうかがえます。


スマホ普及や働く女性の定着など、マーケティング環境は大きな変化点と言えると考えます。

こうした時期はこれまでの既存商品、サービスを変化に適応させる必要があります。同時に新たなビジネスチャンスと言えます。

今後も環境変化に伴うビジネスチャンスについて考えていきたいと思います。

執筆者:蛭川 速 / 2016.10.13