【9】2次データを読み込む

スマホ普及が固定電話の解約を導く

スマホ、スマートフォンの普及が進んでいます。
周囲の20代の人達をみるとほとんどの人達がスマホを所有しています。
40代以降では、ガラケーを利用している方も見かけることが多いですが、
街中や電車内を見ても、スマホの普及が進展していることが分かります。



スマホの普及率を検索すると、通信利用動向調査がヒットします。
主な情報通信機器の保有状況をグラフ化すると、
いかにスマホの普及が急速に進んでいるかが分かります。
それに対して、固定電話、パソコンの保有状況の減少傾向が目立ちます。


*携帯電話・PHSには、スマホも含まれています。

スマホと他の機器との相関係数を算出すると
固定電話との逆相関関係が見られます。

(逆相関:スマホの世帯保有率が増えれば増えるほど、固定電話の保有率が
減少する関係)



単純にグラフ、相関係数だけをみると、
スマホが普及したことによって、固定電話を解約する世帯が増えた
と取れますが、本当にそう言えるでしょうか?

ロジックツリー(Whyツリー)で要因を整理すると以下のように
なります。



これらの要因をひとつ1つ検証することで、世帯の情報機器の保有状況を
紐解いていきたいと思います。



【1】 スマホが固定電話の持つ一部の機能(通話・FAX)を代替した

固定電話は通話するという基本機能の他にFAXがついている機種が
あります。

携帯電話の保有率はスマホの保有率が上昇しまじめた
平成23年末から既に9割を超えていますので、通話機能の代替とは
考えづらく、その他の機能を考えるとFAXが頭に浮かびます。

スマホによってメールやブラウザ閲覧ができるようになったので
FAX付きの固定電話にベネフィットを感じなくなったのではないかという
類推です。

内閣府の実施する「消費動向調査」では主な家電製品について世帯当たりの
保有率(普及率)を算出しています。


スマホが登場したのが、2014年からなのが残念ですが、FAXとの関係を
みることはできます。

確かにスマホの普及は、消費動向調査からも右肩上がりを確認できます。
それに対してFAXは僅かながらも下降線を描いています。

世帯保有ですから、電話機にFAX機能が付いているものと想定できます。



ヤフージャパンの発表した「2016年ガラケー&スマートフォン利用率・満足度調査」
によると、スマホ利用者は、通話、メールに次いで「ネット閲覧(86%)」がランクイン
しています。


店舗の地図などを得るためのFAXの利用がネット閲覧によって
代替したのではないかと考えます。

また画面の大きさいや見易さが高いことによって、今までFAXで行っていた
文書のやり取りがスマホによって代替されたことも要因として考えられます。



一部データ数が少ない箇所はありましたが、

スマホがFAX機能を代替したために固定電話の解約が進められたという仮説
は成り立ちそうです。




【2】 家族のほとんどがガラケー・スマホのどちらかを所有したことにより、固定電話が不要となった

この仮説は、家族全員が携帯電話(ガラケー・スマホに関わらず)を持つように
なると誰でも直接アクセスできるので固定電話が不要になるだろうという
考えです。一家に一台 から 一人に一台 に変化してきたということです。

先ほどの消費動向調査には1世帯あたりの保有数量というデータがあります。
こちらを使って検証してみましょう。



国民生活基礎調査には世帯当たりの人員数が掲載されており、消費動向調査の
算出世帯と合わせて計算し、同一グラフにまとめてみました。

(消費動向調査では二人以上の世帯を対象としているので、独身世帯を除く
二人以上の世帯の人員数を計算し比較しました)

この結果からみると2015年3月は世帯人員3.0人に対して、2.3個ですから
1人1個には遠い数字です。

可能性があるとすると、若年世代ではひとり一台が進展しており、そのことが
固定電話解約に繋がっていると考える事ができますが、

現在のところ検証することは困難です。




【3】 ガラケーからスマホに変わることにより、高い通信料金が家計を圧迫、固定電話を節約

こちらは分かりやすいと思います。家計に占める通信費の割合が増加する事
による節約の方策が、固定電話解約に繋がったという考えです。

家計消費状況調査では、世帯における支出金額を毎月集計しています。




二人以上世帯の支出金額は、10年前の平成16年10-12月の平均で
移動電話:8,254円
固定電話:4,009円
でありましたが、

比較可能な直近の平成26年10-12月の平均では
移動電話:11,738円 (3,484円)
固定電話:2,696円 (△1,313円) となっています。


携帯電話等の移動電話の通信料の増加を賄うために固定電話料金を節減して
いることが分かります。



「2016年ガラケー&スマートフォン利用率・満足度調査」によると
ガラケーは平均3,331円、スマホは平均6,276円ですから

移動電話の金額が増加したのは、スマホに切り替えているものと言って
良いでしょう。

家計を圧迫しているスマホ通信料を捻出するために、節約術として
固定電話を解約、利用縮小していると言えると考えます。



【まとめ】

現時点でスマホの普及は増加傾向にあり、スマホ利用者が、

メールやブラウザ閲覧機能などこれまで固定電話で行っていた

通話、FAXの機能を代替する機能を利用することが、

固定電話の解約を促すものと考えます。

スマホの通信費が高額であることから、節約手段として固定電話

の契約を解除したことも一因として考えられます。

執筆者:蛭川 速 / 2016.09.12