【13】先入観からの世代考察

フェスに見る若者の潜在ニーズ

酒類市場についてデスクリサーチをしていたところ、お酒にまつわる最近の動向として 「クラフトビール」 の販売増加が顕著であることが分かりました。

2015年のクラフトビールの販売量は、4万キロリットルと3年前の4倍に達すると言われています。(キリンビール推計)





クラフトビールとは小規模な醸造所で少量生産されるビールのことを言います。

1994年の規制緩和で生産量が60キロリットル以下(従来は2000キロリットル)でも醸造が認められるようになり、地方での生産量が一気に増えました。

当時は地ビールと言われていましたが、最近ではクラフトビールという呼び名が定着してきているようです。

ミカンやこしょうも原料に使うなど、幅広い味や香り付けができるのが特長です。

日本地ビール協会の山本祐輔理事長は、「若者が飲食店で飲んでいる。特に東京や関西で消費が好調」と話しています。

中高年がすっきりした味わいのビールを好むのに対して、若者は量を飲まない分、個性的な味を受け入れやすいようだ、としています。

東京商工リサーチ「第6回地ビールメーカー動向調査(2015.10)」によると地ビールメーカー77社の地ビール販売方法として「自社販売」40社が特徴的な結果です。



通常の酒類メーカーはスーパーマーケットなど大手流通が大きな構成比に対して、地ビールは自社販売が主要チャネルということです。




クラフトビールのイベントというと、ビアフェスティバルが想像されます。
若者を中心として大変な賑わいを見せています。


一方で外食のトッピクスとして挙げられるのは「ネオ酒場」です。

ネオ酒場とは、従来の大衆酒場とは少し違った業態で、ガラス張りで開放的な入りやすい酒場のことを言います。

気兼ねなく入れることから若い女性も多く訪れています。

最大の魅力は狭い店内で生まれる他の客らとの予想外の出会いとのことです。新しい体験を求める「体験志向」を求める消費者心理が人気の背景にあるようです。




クラフトビール人気、ネオ酒場の共通する背景として「仲間と楽しく時間を過ごしたい」というニーズが若者の間で顕在化しつつあるのではないかと考えています。

もちろん若者全般の意識ではなく、そうしたニーズが一部の若者に見られる傾向があるという意味です。


NTTアド の「若者の群れる行動に対する意識調査」(2015.10)では、「ハロウィーン」「サッカーワールドカップ日本代表戦」「ランイベント」等に集まった経験があるとした人は、44%に上るとしています。(16-39歳男女)


若者の高いSNS利用率からのコミュニケーション方法と、ある意味反した結果と言えますが、ネットやスマホを介したバーチャルなコミュニケーションだけではないリアルな繋がりを求めていることが分かります。


SMBCコンシューマーファイナンスの実施した「20代のオフの過ごし方に関する調査2016」(2016.6)によると「3千円分のご馳走を一人で堪能するか、会費3千円のパーティーに友人と参加するか」という質問では、後者の方が多いという結果がでています。


同じお金を使うならば、仲間と過ごすことで、「楽しさ倍増」という心理なのでしょう。


体験ニーズということでは、女性によりその傾向が強く表れているようです。

「1万円分のCDやグッズ購入か、1万円分のライブ参加」という質問で、女性は1万円分のライブが64%となっています。




ネオ酒場「体験ニーズ」については女性の方が強いニーズを持っているようです。


作今しきりに言われている「若者の〇〇離れ」という現象ですが、群衆行動や体験ニーズなどにみられる若者の意識や行動を捉えた「場の創造」をきっかけとして、需要を盛り上げることが可能であると考えます。



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執筆者:蛭川 速 / 2016.08.31