【9】2次データを読み込む

デジタル時代のマーケティング

先日「マーケティング活動と人材育成」というテーマで講演させていただきました。

デジタルマーケティングというキーワードが広く一般化している中で、実際のところ消費者の購買行動にどの程度の影響があるのか、データをもとに考察をしてみました。

まずはインターネットの普及率です。
仕事においてネットがない状態が考えられない私の感覚では、限りなく100%に近いと思いましたが、実際には83%という数字でした。




これは13歳から80歳までのなかで「1年間に1度インターネットを利用したことのある人」という比率です。
全人口の8割ということですから、誰もがアクセスできる媒体とは言えませんが、ほとんどの人が利用している媒体といえます。

*年代別の利用率は前回発行のコラム「全世帯の30%がネットショッピングを利用!消費実態と課題抽出」の中でデータ掲載しています。


デジタルマーケティングの推進を加速させているのは、
何といっても、「いつでもどこでもアクセスできる」スマホでしょう。
スマホの普及率はどうなっているでしょうか?

20代の若年層こそ9割を超えていますが、全体では未だ6割といったところです。
ただし意向(将来欲しい)を加えると8割を超えます。
いずれ「ほとんどの人が使用している」という状況になるでしょう。


次に広告媒体としてもポテンシャルが高いSNSです。



全体では約5割、20代でも7割を超えたところです。
中高年齢層にはSNSに抵抗感がある人が多いようですが、

10代から40代にとっては有力な媒体と言えるでしょう。



それではこれらデジタルツールの浸透によって、
消費者の購買行動はどのように変化しているか考えてみたいと思います。



「商品の情報を何を通じて知ることが多いか?」という設問に対して
最も多かったのは「テレビ」で81%でした。
2位はニュースサイトやポータルサイトで42%、
3位は店頭で40%となっています。

デジタルツールの浸透度合いからすると意外と低い印象ですが、
注目すべきは店頭よりもWebサイトが上回っていることです。

そしてデジタルツールの伸び率が高いことも特筆すべきことです。(折線グラフ)


そして「テレビ/新聞/雑誌をみてWebサイトで調べる機会」では
9割近くが「ある」(よくある+たまにある)と回答しています。



TVが情報源として確固とした地位を維持しているとともに
それを補完するメディアとしてWebが欠かせない状況にあるということです。

この結果を見る限り「続きはWebで・・・」は有効と考えられます。


また「店頭で気になった商品があった場合の行動」では52%が、「Webで調べる」としています。




これは衝撃的なことではないでしょうか?店員に尋ねるよりWebが商品説明の媒体として重要視されているのです。店員に聞いて、しつこくセールスされるより「検索」するという行動が目に浮かびます。


次に購買行動におけるクチコミの影響を考えてみました。



「クチコミが購入の決め手になるか」という設問で、
約4割が「クチコミを参考にして購入を決めることが多い」としています。
スマホ利用者が6割であることを掛け合わせると
4人に1人(60%×40%=24%)はスマホでアップされた商品情報が
購入に影響を与えていると考えることができます。

全消費者の4分の1に影響を与えることができる媒体ですから大事に考えなくてはなりません。

非常に影響力がある媒体と言えます。そして悪いクチコミほどよく浸透することも分かっています。


悪いクチコミは全体で7割超が気になるということです。商品ブランドの悪い印象がクチコミを通して拡散していく様子が想像できます。


コトラーのマーケティング3.0が出版されてから5年が経過していますが、
デジタル化は着実に進行しており、それに伴いマーケティングのあり方が大きく変化しているといえます。

デジタル機器が生活に浸透している現代では、こうしたツールを無視してマーケティング活動はできないと言えるでしょう。

クチコミの対象とならない商品ブランドはデジタルの世界では埋没してしまいます。
そして過度に競合他社との差別化を訴求した「名ばかり商品ブランド」は
悪いクチコミを誘発し、市場から抹殺されるリスクがあると考えられます。

ということは今まで以上に尖ったコンセプトが求められるということで、
消費者の琴線にふれる、潜在ニーズに着目した商品の企画が必須であるということです。


私自身の購買行動で振り返ると、Webからの情報に大きく影響を受けていることが確認できます。

パソコン、スマホなどのデジタル機器はやはりWebでの情報収集、特に購入者のレビューを大いに参考にしています。
あとは生命保険、自動車保険などですが、これもネットに頼っています。

しかしヨーグルトやうどん、パスタなどの食品についてはネットで調べるようなことはしません。
店頭が主な情報源となります。

また小説を読むのが趣味で半ば活字中毒になりつつあるのですが、
ビジネス関連以外は全て書店店頭での情報収集となっています。

スーツや靴についても同様で、店員の方の話を参考に決めています。
スポーツ用品も同様です。

商品カテゴリに関する関与度合によって情報収集方法は変わってきます。
大切なのはデジタルとリアル媒体、プッシュとプルを組み合わせて、
ターゲットを取り込むのに最適な施策を講じることが求められているということです。

今回は、消費者の購買行動におけるデジタルツール活用について考えました。
次回はBtoB法人需要についての意思決定プロセスにおいて
デジタルツールがどの程度影響を与えていているのか?考えてみたいと思います。

執筆者:蛭川 速 / 2016.01.28