【3】超高齢社会の日本市場をマーケティング観点で考える

全世帯の30%がネットショッピングを利用!消費実態と課題抽出

セブン&アイ・ホールディングスが11月に「オムニセブン」通販サイトを開設し、アマゾン、楽天との競合激化が予想されています。

各社とも通信販売に対する不満、不安を解消すべくサービス利便性を競い合っています。

コンビニの受け取りやすさではローソン、ファミマなど3万2千店で受け取れる楽天に分があるようです。配達スピードでも楽天の「楽びん!」(都内4区)を利用すれば24時間いつでも20分で受け取ることができます。商品数でも楽天が約2億点とアマゾンの約1億点、オムニセブンの180万点を大きく引き離しています。

対するオムニセブンは、コンビニ返品無料と返品のし易さで、アマゾンは音楽や映画等の付加サービスで強みを構築しています。

インターネット通販が本格的にチャネルとして定着していく1年となりました。
今回はネット通販の現状について整理してみたいと思います。



以下は総務省の家計消費状況調査ネットショッピングによる消費を加工したものです。

家計消費状況調査は毎月行われる調査で、個人消費動向の的確な把握のために、ICT関連の消費やインターネットを利用した購入状況、購入頻度が少ない高額商品・サービスの消費等の実態を安定的に捉えることを目的としています。統計的なサンプル抽出により全国3万世帯を対象として行っており、調査方法も訪問留め置き調査を併用していますので、ネット利用頻度の低い層も含めた、実態に近い調査結果と言えます。



平成14年12月と平成26年12月を比較すると1か月間にインターネット通販(ショッピング)を利用した世帯は約5倍の30%まで高まっています。

3世帯に1世帯は毎月ネットを利用して消費しているということになります。




インターネットを使った消費を行った世帯の月額の支出金額では、平成14年12月21,976円だったものが、平成26年12月では27,863円と約6千円増加しています。


ネット通販利用者、利用金額ともに増加傾向にあり、着実に消費チャネルとして浸透していると言えます。では世代別にはどのような傾向がみえるでしょうか。




ネット利用率の高い世代は30代で、約半数の44%が利用しています。30代は5年前と比較しても最も多い伸び率です。次いで40代の40%、20代の38%となります。

50代も善戦していますが、60代になると激減し2割に満たない19%となってしまいます。最も多い30代40代の半分以下の利用率ということです。

逆に月額支出平均では、最も高い世代は50代の27,691円で5年比での増加額も最も多額です。次いで60代の27,498円となります。

高齢層、特に60代のネットショッピングの利用に、市場拡大の鍵があるといえます。
利用している世帯は少ないが、消費金額は高い という事ですから、利用層が拡張すれば、現在のネット利用を更に促進することになるということです。



そもそもシニア層のネット利用比率はどのような状況でしょうか。

以下は通信利用動向調査をまとめたものです。

50代男女まではほぼ9割が利用経験があります。60代では10ポイント程低下し、男性で80%、女性で70%となります。70代になると更に激減し、男性59%、女性43%と低下しています。

そもそもネット利用比率が低率であるために、ネットショッピング利用率も低いということです。

着目すべきは女性の利用経験です。

消費欲が高い女性を動かさねば事は始まらないと考えます。
60代70代の女性をネットの世界に招き入れる事が必要となると考えます。



通信利用動向調査の「インターネットの利用目的」をみると、合計、および50代との差異が大きな項目として、「商品サービスの購入」、そして「動画投稿・共有サイト」「ソーシャルメディアの利用」が挙げられます。

動画やSNSなど他世代で活用されているネットの魅了が高齢層に伝わっていないと推測されます。




同調査の「ソーシャルメディア利用目的」をみると「従来の知人とのコミュニケーション」が他年代よりも20ポイント以上低いことが分かります。

SNSの醍醐味である離れている人とのコミュニケーションが活用されていないということです。

60代は長い人生を歩んできているので知人友人の数は多く、懐かしさから旧友とのコミュニケーションを望んでいると考えられるので、SNSそのものの認知、内容理解が進んでいないことが考えられます。中には嫌な思いに触れたくない、思い出したくないと考える人もいると思いますが20ポイントの差異の説明としては不十分と考えます。

SIMフリーや格安スマホが注目されています。高齢者の利用促進を取り入れ、あらかじめトップ画面にアプリをインストールしておくことや、専用アプリの開発などが有効と考えます。

利用方法の説明やメンテナンス、代替サービスなども考えられます。




60代以上の高齢者、特に女性をインターネットへ取り込み、利便性の高い商品サービスで消費を促進していく活動が肝要と考えます。

執筆者:蛭川 速 / 2015.12.18