【12】企業分析事例

吉野家の来店客数増加施策を考える

日経新聞によると、牛丼チェーン各社の10月売上が、好調なようです。

値引きセールの効果が高かったようです。

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牛丼大手3社の10月の既存店売上高は値引きセールの効果で3社とも増収
だった。吉野家ホールディングスの「吉野家」は売上高が8.0%増えた。
380円の並盛りを300円にしたセールは西日本の235店限定で10月1~7日に
実施した。
セール中の客数は直前の週と比べ3割増えており「当初の見込みより良い反応
だった」(河村泰貴社長)。

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以上引用部分(日経新聞朝刊2015年11月6日)






西日本限定で7日間だけでも客数増加には大きく寄与したようです。

2014年12月に牛丼並盛を300円から380円に値上げして以来、落ち込んでいた

客数減少を持ち上げる起爆剤となっています。

少しずつ客数が戻ってきた印象を受けます。


日経新聞のアンケート調査によると、牛丼並盛の価格イメージとして

「300円以下」は全体の26%、「350円以下」で35%ですので、380円では、

約6割が価格ギャップを起こしたということになります。

そして牛丼値上げによって牛丼店の利用頻度が減ると回答した人は

2割に上ります。

CVSやうどん・そば店、手作り弁当などへ流出したと予想されます。




確かにローソンのファストフード販売金額の増加傾向にあるように、

実際にCVSのファストフードは成長しています。



牛丼チェーンに留まらない競合環境の厳しさは、値引きによるカンフル剤だけ

では太刀打ちできない状況にあります。


構造的に客数を増加させるにはどのような方策が考えられるでしょうか。

どのような顧客層にポテンシャルがあるのか?

牛丼チェーンの利用実態から探索していきたいと思います。



以下はよく行く牛丼チェーンについてのアンケート結果です。

「吉野屋」は男性、「すき家」は女性という棲み分けができています。

また女性のうち半数(50%)が非顧客層(行かない)であることも特徴的です。





牛丼チェーンへ行く人の中では、20代30代は「すき家」、40代以降は「吉野屋」

の人気が高まっています。





上記には来店頻度の観点が入っていないので、あくまでもマインドシェア

(消費者の意識上の認識)からの状況ですが、「吉野屋」の来店客数増加には、

若年層および女性の取り込みが課題であると考えます。


別な情報源となりますが、「吉野屋」の認知率はほぼ100%(99.6%)です。

そして経験率は9割(90.5%)にのぼり、他のチェーンを引き離してのダントツ

のブランド力です。



ここから、「過去に利用したことはあるが最近は行っていない」

という離反顧客が多数を占めている状況が類推できます。

何らかの要因によって現在は来店していない潜在的な顧客層を

呼び戻すことがポイントとなります。



丼チェーンに行かない理由から、女性が入りやすい店作り、

1人でも気軽に来店できるような新業態を開発することが方向性として

考えられます。


吉野屋=男性、おじさん 


といった強いイメージを払しょくするためには

別ブランドで女性客を取り込む事が肝要と考えます。

全店を小奇麗に女性が入り易くしてしまうと、おじさん達は入りづらくなって

しまいます。



若い女性にとっても昼食代を節約することはニーズとして強いと考えられます

し、毎日手作り弁当というのも大変です。

利用頻度0から試しに一度利用してみようという気を起こさせることが

大事だと思います。

利用経験のある女性であればリ・トライアルは獲得しやすいと考えます。




もう1つは「何となく足が遠のいてしまった」という離反客を取り戻す方策として、

「吉野屋ブランド」をリマインドさせることが考えられます。

若い人たちに人気の女性タレント「ローラ」をキャッチにして、



自社Webサイトへ誘導させ、再認知を誘発しています。


「Enjoy!吉野屋」では女性や若者に人気のタレントやお笑い芸人、プロレスラー

などが吉野屋を題材にしたトークやコントなどをYouTubeで伝えています。




エグスプローションの「吉野屋で踊ってみたんですけど

では「吉野屋」の裏メニューが紹介されています。

脂身ない肉の「トロなし」や肉なしの「ネギだけ」

肉とごはんが逆となっている「肉下」は新たな発見があり

楽しめました。



FacebookやTwitterと連動しており、拡散し易くなっています。

何気ない生活の中で、「吉野屋」とのふとした接触を誘発させ、

暫く足が遠のいていた離反顧客を呼び戻していく工夫がみえます。

こうした地道な活動がファンを呼び戻し、ロイヤルティを高めていくと考えます。
執筆者:蛭川 速 / 2015.12.04