【12】企業分析事例

好調ABC-MARTの課題を抽出

前回ABC-MARTのビジネスモデルの強みとして

商品・ブランド戦略(自社ブランド保持・強化・育成とナショナルブランドとの連携)、

運営戦略(POSシステム活用による販売力の底上げ)

について触れましたが、

好調なABC-MARTに経営課題はどのような事があるのでしょうか?



今回はABC-MARTの売上推移と今後の成長戦略について考察していきます。


まずは売上実績について推移を見ていきます。




5年前の2010年と比較して約2倍となる成長率の高さが確認できます。


2015年4月8日に発表された平成27年2月期の決算短信に、国内と海外セグメント別に実績が掲載されています。
数値を計算し海外比率を重ねると以下のようになります。



海外販売構成比が高まるにつれて売上規模が拡大しています。


相関係数を計算すると売上高と海外販売構成比は、

0.99

と非常に高い相関関係が見られます。


散布図を描き、回帰式を求めると

y=60.845x+550.73

これは1%海外売上構成比が高まると売上が60億円上がるという計算です。



「規模の経済性」を発揮していると言えます。



一方で営業利益も順調に伸ばしています。

ただ売上と違って海外店舗の利益貢献は小さいようです。




国内営業利益率に比較して海外の営業利益率は低い状況にあります。



海外営業利益率を2011年のレベルまで引き上げる事ができればより高い利益構造となります。

確かな要因は探索することができませんが
自主企画商品の不振があるのではないかという仮説がたちます。

海外店舗の83%を占める韓国店舗の売上原価率が増加しています。
 2010年12月期 45.8%
 2011年12月期 47.6%
 2012年12月期 50.8%
 2013年12月期 50.6%
 2014年12月期 51.4%
 2015年12月期 51.0%
自主企画商品の比率が低下したことが原価率増加に影響したのではないかと考えます。

海外店舗の利益率向上が課題と言えます。
そのために自主商品販売へのプロモーションや商品企画が必要と考えられます。


さらに国内出店数にも課題が見えます。
これまで順調に店舗数を伸ばしていますが、





ユニクロは国内店舗数2014年8月末現在で852店で前年とほぼ同数です。(2013年853店)

感覚的な話ですが、ユニクロとABC-MARTの購買頻度は類似していると思います。

となると

国内店舗がそろそろ限界に近づいているのではないかと考えます。

韓国以外にも海外店舗展開が課題と言えるのではないでしょうか?

ユニクロは2014年8月期に、グレーターチャイナ(中国・香港・台湾)の売上が初めて2,000億円を超え、期末店舗数も374店舗に達しました。営業利益率も前年から改善し11.9%となり、グレーターチャイナでの成長が確かなものになっています。

以上でABC-MART研究は終了です。

国内で目覚ましい成長を遂げた企業のグローバルでのビジネスモデル展開に期待がかかります。

日本で成功したビジネスモデルはある程度再現できると考えられます。
今後の戦略展開に注視していきたいと思います。

執筆者:蛭川 速 / 2015.04.16