【12】企業分析事例

ABC-MART好調の要因分析

日経新聞にABCマートが好業績を挙げているとの記事がありました。

国内景気上昇傾向が報道されていますが、

全ての企業が好調であるわけではありません。

景気変動に影響されないで12期連続で営業最高益は快挙といえるでしょう。


以下 日経新聞朝刊(2015年4月1日付)より引用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ABCマート、12期連続営業最高益 前期 訪日客増、追い風

エービーシー・マートの2015年2月期は、本業のもうけを表す連結営業利益が400億円程度と前の期比17%増え、12期連続で過去最高を更新したようだ。

「ニューバランス」など有力ブランドスニーカーの販売が好調だった。都心部や観光地の店舗で、訪日外国人客が増えたことも追い風となった。

売上高は13%増の2130億円程度だったとみられる。

新規出店により国内店舗数が784と1年前より35増えた。

海外売上高が500億円を超えるなど、海外事業の伸びも目立った。

国内は昨年4月の消費増税以降、既存店の客数が前年を下回り通期で0.1%減った半面、客単価は5.8%上がった。

機能やファッション性が高く、価格帯も5000~6000円台とやや高めの品ぞろえを増やす戦略が奏功した。

外国人客の増加も業績を押し上げた。

半面、好採算のプライベートブランド(PB=自主企画)商品の比率が下がり、営業利益は従来予想(406億円)をわずかに下回る。16年2月期も増収増益を見込む。

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この記事は営業利益の増加要因を売上増加と位置づけ、

ロジカルに説明しています。


売上増加は客数×客単価に分解できます。


①客数増加要因:訪日外国人・海外店舗からの売上が増加
②客単価増加要因:高単価商品(機能・ファッション性)の品揃えを増やした

非常に分かりやすい説明になっています。


ただ訪日外国人の恩恵を受けることができるのは他の店でも同様です。

また「餃子の王将」のように高単価の品揃えを増やすことによって顧客離れを引き起こしている例もみられます。


円安や訪日観光客増加といった経営環境変化への対応の裏に何かがあると思います。

訪日外国人や海外顧客への販売戦略や高付加価値商品の品揃え戦略を支える
仕組みやケイパビリティが盤石であるからこそ、ビジネスチャンスを上手く取り込み、12期連続営業最高益を得られたということです。


というわけで今回から3回に分けてABCマート好業績の要因分析について考察していきたいと思います。



まずは決算短信を見ていきます。


ABCマートのHPから決算短信を検索すると
ABCマートを運営する株式会社エービーシー・マートの平成27年2月期第三四半期決算短信(平成26年3月1日~平成26年11月30日)が見つかりました。



まずは連結業績から

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連結売上 1580億円 対前年比15%増加
営業利益 320億円 対前年比15%増加
営業利益率 20.3% 対前年比1.4ポイント増加

国内店舗数 782店 対前年比33店増加
海外店舗数 192店 対前年比20店増加
1店当たり売上高 1億6221万円 8.3ポイント増加
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単に店舗数を増加させた規模拡大による成長ということではなく
収益性や店舗効率を高めていることが分かります。



次に損益計算書から収益構造を分析していきます。

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売上原価 70,405百万円(売上比44.5% 前年43.7%)
販管費  55,556百万円(売上比35.2% 前年37.4%)
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連結でみると原価率が増加しているのを、販管費率を抑える事で収益性を向上させているのが分かります。

新聞記事にもありましたが、PB比率低下が要因と考えます。高付加価値の商品を品揃えするためにはナショナルブランドの比率を高めることが必要であったと考えられます。


販管費の中でも
広告宣伝費は、 4922百万円(売上比3.1% 前年4.0%)と
前年よりも約5億円減少させています。

広告の在り方を工夫して売上を伸ばし、且つ収益性も追及していると類推できます。


消費増税後の消費者心理を読み取って、顧客が欲しいと思う商品の品揃えを展開していった結果であると考えます。

決算短信では、商品カテゴリー別の売上も掲載されています。


売上金額が大きく前年同期比が高いのは「スポーツ」です。健康意識の高まりというビジネスチャンスを捉えた戦略と考える事ができます。

スポーツは全体の売上に占める構成比も増加しています。



ABCマート好業績の要因は、円安や消費増税、訪日観光客増加といった
外部環境の変化に対して効果的に対応していったと考えられます。

次回は消費者意識をどのように捉えていったのか、
ABCマートの強みと顧客意識について探索していきたいと思います。

執筆者:蛭川 速 / 2015.04.03