【16】世代研究

恐るべし!中国人客のバイイングパワー

前回、訪日外国人の急増、特に中国人旅客者に着目しましたが、今回は訪日外国人の旅行支出について見ていきたいと思います。


訪日外国人の旅行消費総額は、2014年、前年43%増加し2兆円を越えています。


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国別に消費額を比較すると中国人旅行者が5583億円と全体の4分の1を占める消費をしています。2013年比では2倍の消費額となります。

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中国人旅行者消費の内訳をみると、旅行者数、消費単価ともに増加していますが、前年比102%の原動力となったのは旅行者数増加が大きく影響しています。
前年比83%の増加は驚異的な伸び率です。消費単価も台湾の約2倍、韓国の3倍となっていますから、バイイングパワーの強さが確認できます。

多くの中国人が日本を訪れ、多額の消費をもたらしているのです。

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訪日旅行者の人口に占める割合を計算してみると、台湾人は全人口の12%が日本を訪れていますが、中国人は14億人の内わずか0.2%ですので、今後のポテンシャルという意味でも注目すべき存在と言えます。

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では訪日客は何を消費しているのでしょうか。費目別に構成比を算出してみました。2013年にもっとも多く支出していたのは「宿泊費」でしたが、2014年は前年2位であった「買物代」が逆転し、トップに立っています。総額の3分の1を買物に支出しているという事です。

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国別では中国人客の購買行動が特徴的です。1人当たりでみるとなんと中国人客は合計で約21万円の支出をしていて、その内の過半の11万円を買物に遣っています。台湾、韓国と比較すると買物比率の高さが確認できます。

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買物の中身をみると、ほとんど全てのカテゴリーで台湾、韓国よりも多くの商品を購入していることが分かります。TVで爆買の様子が映し出されますが、炊飯器や洗浄機付き便座などを購入するシーンが印象に残っています。電化製品やカメラ、時計などの購入率の高さも中国人客の特徴です。

買う人が多い(購入率が高い)だけではなく、購入者の単価も高い事も特徴です。特にカメラ、時計などは高額商品を大量に購入していることが想像できます。
多くの商品カテゴリーでまさに消費リーダーとして活躍している中国人客ですが、私が着目するのは「化粧品・医療品・トイレタリー」などの日用品です。これらは購入率が高く、且つ購入単価も高い商品カテゴリーです。日本人が当たり前のように使っている日用品を買いまくっているということです。

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購入率に購入単価、訪日客数を掛けあわせて市場規模を算出してみると「化粧品・医療品・トイレタリー」の中国人客の市場は624億円と最大の市場規模であることが分かります。


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背景に、2014年10月に実施された、免税品区分の拡大があります。これまでの免税制度は対象が家電や衣料品、バッグなどに限定されていました。これらに加え、食料品や医薬品、化粧品などの消耗品が追加されたのです。合計金額が税抜き5001円以上で、一定の条件を満たせば免税扱いで買えるようになったのです。

これまでの宝飾品やカメラ、電化製品などの高額品だけではなく、日用品までも訪日外国人の消費対象として位置付けられます。

日本人も購入する一般的な商品までも訪日中国人向けにアレンジすることで、大きなビジネスチャンスを獲得できるということです。



家電量販ではステンレスボトルが売れています。中国人はよくお茶を飲み、持ち歩きすることができるステンレスボトルが好まれているのです。中国国内で購入するよりも3分の1の価格で購入できるステンレスボトルが人気となっています。

日本人にとっては当たり前の機能や品質が中国人からみると、魅力的に映る商品は多いと考えます。

国内で当たり前のように普及している価値の高い(中国人にとって)商品を中国人の目に留まるように訴求点を開発していくこと、中国人の嗜好に合わせて商品開発していくことが重要と考えます。

日本商品を訪日外国人向けにアレンジして、訴求していくことで大きなビジネスチャンスが広がります。

執筆者:蛭川 速 / 2015.03.18