【10】フォーカスマーケティング

エナジードリンク市場にフォーカスする

エナジードリンクが好調です。富士経済の調べでは2014年市場規模は500億円の見込としています。2005年にレッドブルが日本市場に参入してから9年間で大きな成長を遂げています。


これだけ大きな市場を創出したエナジードリンクですが、中身をみると、2013年約950万ケース(30本換算)が出荷されている中で、首位のレッドブルは550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースということで、2ブランドで市場の80%以上を独占しているという状況です。(飲料総研しらべ)

レッドブルが牽引しているエナジードリンクの飲用実態について調べてみました。

20128月実施の調査ですが、調査会社のマーシュが「エナジードリンクに関するアンケート」を実施しています。この中でエナジードリンクを飲んだことのある人の飲用頻度を聞いています。

週に1日以上飲んでいる人が全体の3割を占め、月1日以上飲んでいる人で6割を占めています。飲んでいる人と飲んでいない人に2極分化しているように感じます。

この情報をもとにパレート分析を行ってみました。

パレート分析によって、需要の集中度合が分かります。飲用が習慣化している人(ほぼ毎日+週に4-5+週に2-3日飲む人)は全体の15%しかいないのに、市場全体の本数の65%を占めています。

好調なエナジードリンクを支えているのは熱烈なロイヤルカスタマーに依るものであると考える事ができます。エナジードリンクをあまり考えずに潜在的に購入しているのではないでしょうか。

ブランド認知と飲用経験の差異においても2極分化していることがうかがえます。

クロスマーケティングが20128月に実施した「栄養ドリンクに関する調査」によると、「銘柄別の認知・飲用経験・今後の飲用意向」において、レッドブルの認知率は48%、飲用経験は17%となっています。その差31%、認知飲用経験率は55%と計算できます。即ち知っているけど飲んだことがない人は45%存在するということです。飲用者の幅がそれ程広くないことが分かります。オロナミンCの認知飲用経験率を算出すると、74%、リポビタンD65%、リアルゴールドは55%です。日本企業の伝統的な栄養ドリンクの各ブランドと比較すると需要が集中していることがうかがえます。もっともブランドの歴史による差とみる事もできますが・・・

ではどのような属性がエナジードリンクを飲んでいるか見ていきましょう。
先程同様クロスマーケティングの調査では、代表的なブランドの1カ月以内の飲用者について、年代と飲用シーン、飲用目的について聴取しています。



エナジードリンクの代表的なブランドである、レッドブルは20代30代の若者で68%を占めています。オロナミンCやリポビタンDが各年代ほぼ均等に飲用経験があるのと対照的です。
そして飲用目的をみると、レッドブルのトップは「元気・エネルギー補給」43%、「リフレッシュ」30%となっています。リポビタンD、ユンケルなどの従来型栄養ドリンクが「疲れをとる(改善)」がトップにきているのとは、おもむきが異なります。言葉尻だけをとらえれば、従来型はマイナスからの改善、エナジードリンクはプラスへの転換、前向きな気分にさせるための「きっかけ」と言えるのではないでしょうか?今風に言えば「気分を上げるために・・・」というイメージです。また他のブランドにはない要因がランクインしているのも興味深いところです。「眠気をとる」20%です。40代の私にとって眠気をとるのは「コーヒー」と直感的にイメージされますが、エナジードリンクが想起されているとは意外な結果です。

全日本コーヒー協会の調査によると確かに20-30代(正確には25-39歳)のコーヒー飲用と40-50代のそれとは差があります。しかも20-30代の飲用杯数の減少が目立ちます。
前回のコラムで「缶コーヒー飲用率低下の原因を分析する」

http://www.focusmarketing.co.jp/column20140424.html

にてその要因として喫煙率の低下や健康意識と指摘しましたが、エナジードリンクも多少なりとも影響しているのではないかと思われます。

さらに飲用目的でオロナミンCを見てみると、レッドブルと似ている事に気づきます。年代構成比こそ違いがあれ、ベネフィット訴求においてはオロナミンCのコミュニケーションのラテラル(水平移動)ではないかと類推します。オロナミンCの「元気ハツラツ」というフレーズが思い出されます。

以上複数のアンケート結果をもとにエナジードリンクの飲用状況について眺めてきました。
ドリンク剤の顧客戦略として、飲用を習慣化させロイヤルカスタマーを獲得するか、ということが戦略の王道であると考えます。
その意味でエナジードリンクの代表格(レッドブル)は、ターゲットを若者に絞り、若者の生活実態や意識特性をきっちりと理解したブランド戦略、コミュニケーションによって顧客の心を掴んだ成功事例と言えるのではないでしょうか。

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執筆者:蛭川 速 / 2014.05.16