【7】Fact Finding

ゴールデンウィークの旅行者数を予測する

Fact-Finding 久しぶりの第7回目は「予測」について触れてみたいと思います。
予測というキーワードで思い出されるのは、回帰分析です。
目的とする変数に対してどのような要素が影響を及ぼすのか、を回帰分析という手法を使って説明していくというものです。
回帰分析という手法も有効ですが、もっと感覚的に理解できるアプローチをとってみたいと思います。

テーマはゴールデンウィークの旅行者予測です。


以下、2014年4月4日日経新聞より抜粋しました

*************************************************************************************
JTBは3日、GWの旅行者が前年同期に比べ3.8%減り2243万人になる見通し
と発表した。前年割れは3年ぶり。
前半が飛び石連休となる日並びの悪さに加え、円安傾向で海外旅行
が低迷。
国内も消費増税の影響を受けるとみている。
JTBの調査によると、海外旅行は11.4%減の47万人に留まる見通し。
アジア方面の旅行の不振が目立つとしています。
中国が11.7%減り、韓国も23.7%減、タイも17.1%減としています。
国内旅行も3.6%減の2196万人にとどまる見通し。平均費用も3万4400円
と4.2%減。
業界では「日並びの悪さだけでなく、消費者が消費増税前に耐久消費財
などの購入を
優先した結果、国内旅行を控えている」との指摘もある。
*************************************************************************************

と報じられていますが、皆さんはどう予測しますか。

JTBでは消費税、円安、日並びの悪さ を要因として旅行者総数が減少するとしています。

ここは敢えて、

旅行者数は増加する

という、初期仮説を立ててみたいと思います。

まずはゴールデンウィークの旅行人数のトレンド分析をしてみます。

JTB「ゴールデンウィークの旅行動向」推計数値 より編集



2000年以降の旅行者総数(国内・海外)をみると

①昨年2013年は2000年以降で最高の旅行者人数を記録している
②2011年は落ち込み幅が大きく2000年以降で最低(震災影響と類推される)
③2011年を除くと2008年以降右肩上がりの傾向が見える
といったことが言えるかと思います。

では2000年以降で旅行人数総数が多いベスト3の年に共通する要因がないか探索していきましょう。

まずは日並びですが、
2013年:前半3日、後半4日
2012年:前半3日、後半4日
2010年:前半2日、飛び石で、後半5日
ということでかなり良い並びとなっていることが分かります。
3日以上の連続した休暇があると旅行してみようと思うのも
分かる気がします。

消費マインドとしては、どうでしょうか?内閣府の実施する「消費者態度指数」で見てみましょう。
2013年5月:45.7
2012年5月:40.2
2010年5月:42.0
ここ10年では高い数値となっています。
(ちなみにリーマンショック直後の2008年10月は29.2、
震災直後の2011年4月は33.2)

サービス提供側ではいかがでしょうか?同じく内閣府の実施する景気ウォッチャー調査では
旅行・交通関連で

2013年5月:56.3
2012年5月:49.5
2010年5月:47.0
景気自体が上向きの方向にあったことが分かります。



では反対に2000年以降で旅行者数が低い年はどうだったでしょうか?
日並び
2011年:飛び石、3日、後半3日
2008年:飛び石、後半4日
2003年:飛び石、後半3日
あまり連続して休みをとるのに適していません
2011年は日並びはいいですが、震災によるマインド低下と言えるのではないでしょうか。

消費マインド「消費者態度指数」
2011年5月:34.2
2008年5月:33.0
2003年6月:36.0(2004年3月までは四半期調査であったため)
こちらもトップ3と比較するとかなり低率です

景気ウォッチャー調査
2011年5月:27.2
2008年5月:32.1
2003年5月:29.1
旅行・交通関連における景気がダウントレンドであったことが分かります。


こうしてみると旅行者数の増減を左右する要素として消費者生活者の消費に対するマインド、サービス提供者の景気の読みそして日並びが予測をする上で影響を及ぼす要因として考えられます。

さて
2014年は、というと

日並び
あまりよくありません。

前半飛び石で、後半は4連休です。

過去の旅行者数が多い年には見られない日並びです。


消費マインド「消費者態度指数」
2014年2月:38.3 です。
傾向としては
2013年9月:45.4
2013年10月:41.2
2013年11月:42.5
2013年12月:41.3
2014年1月:40.5
という流れで見るとダウントレンドと言えるでしょう。これに4月以降は消費増税の影響を受けることが予想できます。

最後景気ウォッチャー調査
2014年3月:51.2です。
傾向としては
2013年10月:52.2
2013年11月:51.4
2013年12月:52.6
2014年1月:51.2
2014年2月:47.5

こちらは50を境に上下しているという状況ですので少し期待が持てます。


さらに景気ウォッチャー調査の今後2~3か月先の予測を聞いた指標では
2014年3月:41.6 という数値です

ベスト3の年の同月の指標は
2013年3月:58.0
2012年3月:51.6
2010年3月:49.1

ワースト3の年は
2011年3月:19.6
2008年3月:43.2
2003年3月:35.2

となっていますので、初期に立てた仮説

2014年ゴールデンウィークの旅行者数は増加する

を説明するのには厳しい状況となります。


日並びの悪さということもありますが、それ以上に消費者・生活者のマインドが低減傾向にあることが大きく作用するのではないかと予想します。

旅行に行こうと計画するのは、やはりマインドが大きく左右していると考えます。
逆に言えば、消費者生活者のマインドをどう喚起するかがマーケティングの視点では重要と考えます。

いかがでしたでしょうか?
多変量解析を使わなくても、過去のトレンドと現在を比較することで、今後の予測をつけることができることを理解いただけたかと思います。

大事なのは予測をした上で、どうアクション(打ち手)をとるか!という事です。
旅行の例でいけば、旅行者総数に比較して、総消費額(出費額)の増加率は高くありません。

ゴールデンウィークに出掛ける人は増えているがお金をあまりかけずにいる、LCCなどの恩恵を受けて
節約志向に対応している人が多いという状況がうかがえます。

そうした中でいかにお金を使ってもらうか、もしくは旅行に行かない人に、どう出掛けさせるか?
動機付けを与えられることができるか!
という観点で施策を検討していくことが求められます。

*****************************************************************************************************
フォーカスマーケティングではマーケティング仮説設定のコンサルティングサービスをご案内しています。

ご興味ある方は


こちらまで

お問い合わせください。

お問い合わせ内容に「マーケティング仮説設定のコンサルティングパンフレット希望」と記載してください。後日パンフレットを送りさせていただきます。

執筆者:蛭川 速 / 2014.04.11