【9】2次データを読み込む

新入社員の意識

3月も早いもので本日を含めてあと2営業日となりました。

巷では初々しい新入社員が研修のためか街中を移動する姿を目にします。
「2次データを読みこむ」8回目は、新入社員の意識について考えてみたいと思います。


日本生産性本部は、毎年恒例となっている2014年度の新入社員の特徴を発表しました。
「何事も安全運転の自動ブレーキ型」。
頭の回転は速いものの、困難な壁はぶつかる前に未然に回避する傾向があるとして、自動車の「自動ブレーキ装置」になぞらえたようです。
 知識が豊富で就職活動も手堅く進めてきた。情報収集能力にもたけて、人を傷つけない安心感もあるとしています。一方、どこか馬力不足とし、リスクを避ける安全運転もいいが、前向きに挑戦して失敗する中から学ぶ経験もしてほしいと訴えています。
 日本生産性本部は毎年、新入社員の特徴を企業の採用担当者や就労支援の専門家ら8人でつくる研究会で議論し、物事に例えてまとめています。
(2014年3月27日付日経新聞より一部編集)

注目したいのは「どこか馬力不足で、前向きに挑戦して失敗する中から学ぶ経験もして欲しい」という箇所です。何故今年の新入社員はそのように言われてしまうのでしょうか?

アル―株式会社は、2013年10月8日(火)~2013年10月11日(金)2014年4月入社予定 大学/大学院卒業見込みの内定者に意識調査を実施しました。http://www.alue.co.jp/article/report-131029/


それによると、

Q.あなたは、内定先の会社が「あなたに対して入社後に求めていることは」はどのようなことだと思いますか。

1位 会社に貢献すること
2位 チャレンジ精神を持つこと
3位 社会人として相応しい姿勢を持つこと
※上位3位を抜粋

としています。

昨年、一昨年に実施した同設問において、1位、2位と上位を占めた「チャレンジ精神」や「コミュニケーション力の発揮」は順位、数値ともに下降しました。と記載されています。

同プレスリリースには数値が掲載されていませんが、本年度の内定者の特徴として、「チャレンジ精神」が少し欠けていることが分かります。


また同調査では現在の気持ちを聞いています。

Q.これから社会人になることに対して、あなたは現在どのような気持ちを感じていますか。



こちらは少し深刻です。

期待が大きい 28.7%(前年比▲4%)
どちらかといえば期待が大きい 28.3%(前年比▲6%)
どちらかといえば不安が大きい 35.0%(前年比+8%)
不安が大きい 8.0%(前年比+2%)

前年に比較して期待が減少し、不安が高まっていることが分かります。
何がこのような消極的な意識を醸成しているのでしょうか?

もちろん新入社員の育った環境や特質もあると思いますが、前年比での差異となると
大きな違いがあるとは考えられません。(出生年次が近いので)

仮説として採用側、企業側の意識に問題があるのではないかと思います。



2013年8月にフランクリン・コヴィー・ジャパンが156人の「人事・教育担当者」を対象に新入社員研修の利用状況・利用意向について調査を実施しました。
http://www.franklincovey.co.jp/training/case/report/whitepaper/333.html

それによると、新入社員の現在の課題として、「自ら考えて行動するが姿勢が足りない」が最も多く59%が課題として認識しています。



対して現在実施している新入社員研修テーマでは、94%が「ビジネスマナー」と回答しています。次いで、「社会人・組織人としてのマインドセット」82%、「社長、事業部長等による講和」65%、「企業理念の浸透」59%となっています。




主体的な行動を期待している一方で、それを醸成するような教育を充分提供していない。教育研修で、自社のあるべき社員像という型に当てはめようとしている、そんな状況が浮かび上がってきます。
その後2年、3年と経過するうちに創造的な発想やそれに基づく行動ができなくなってしまう。
データの裏を読むとそのような懸念があります。

もっとも全員必須で参加しなければいけない新入社員研修で、チャレンジ精神や主体的な行動を教育してしまうと、自由気ままに自らの考えで行動する社員ばかりが育ってしまうのも考えものであるとも思います。

要はバランスで、基本的な考え方やスタンスをしっかりと身につけた上で、物事を俯瞰的に眺める事ができるかどうか、その中で本質的な課題を見出し、行動することができるかどうか、が重要だと思います。
そうなると新入社員研修ではなく、その後のフォローアップに課題があるのかもしれませんが。


新入社員の特徴は毎年、世相を反映した興味深い内容となっています。
『入社年度別新入社員タイプ一覧』として各年の新入社員のタイプをまとめてあるサイトによると
http://sizen.yamagomori.com/04_yume/freshmantype.html


昨年、平成25年度は、ロボット掃除機型でした。一見どれも均一的で区別がつきにくいが、部屋の隅々まで効率的に動き回り家事など時間の短縮に役立つ(就職活動期間が2か月短縮されたなかで、効率よく会社訪問をすることが求められた)。
しかし段差(プレッシャー)に弱く、たまに行方不明になったり、裏返しになってもがき続けたりすることもある。能力を発揮させるには環境整備(職場のフォローや丁寧な育成)が必要。としています。

平成24年度は、奇跡の一本松型 として、困難な就職活動の中での「頑張り」を賞賛しています。
この「奇跡の一本松型」は稀なタイプです。多くは本年度のようにメリットもあるがデメリットや扱い方に難があることを示しています。
因みに私が社会人入社した平成3年は、
お仕立て券付ワイシャツ型
価格高く仕立てに時間かかり、生地によっては困難。
としています。

時系列に各年のタイプを見つめ直すと、新入社員がもつ本来の特質の他に、新入社員を巡る外部の環境に影響を受けることが大きいことが分かります。
こういった時系列に記載されている定性データも、仮説設定には大きなヒントとなります。
要因を分析し、深掘りする中に、気づきがあるはずです。皆様の発想のヒントになれれば幸いです。


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執筆者:蛭川 速 / 2014.03.28