【9】2次データを読み込む

コンビニコーヒーに負けない缶コーヒーを企画する

前回コラムで取り上げた「コンビニコーヒーのヒット要因を考える」の続編です。

すっかりドリップコーヒーの販売チャネルとして、定着しつつあるコンビニコーヒーですが、その陰に隠れて缶コーヒー市場が窮地に立たされています。

今回は缶コーヒーの立場から、この状況における打開策を仮説ベースで考えてみます。



(1)缶コーヒーのユーザーの特性を考える

朝日大学マーケティング研究所の調査によると缶コーヒーを週1回以上飲む人は男性、特に30代40代に多いと言えます。(男性30代67%、男性40代58%)

またコーヒーがもたらすベネフィット(効果効用)としては、男女による差異があります。


リサーチライフメディア調査によると、「コーヒーを飲みたいと思う時」について、男女差が大きな項目として、女性の方が男性よりも高い項目としては、「リラックスしたい時」50%、「甘いものを食べるときに」44%が挙げられ、女性はコーヒーに癒しを求める傾向が見られます。


対して男性の方が女性よりも高い項目としては「仕事中・勉強中に」36%、「車の運転中に」19%と、男性は集中したい時、覚醒したい時にコーヒーを求める傾向が読み取れます。



FactとFindingを整理してみると

というようになります。
この結果をコカ・コーラの戦略と照らし合わせると、女性向けの新ブランド「ルアーナ」の「肩の力を抜いてゆっくり楽しむ路線」は納得がいくものと言えます。




(2)コンビニコーヒーから流出した缶コーヒーユーザーの要因を考える

コンビニコーヒーが出現しても、依然として缶コーヒーを買い続けているロイヤルユーザーはいるはずです。

少し古い記事ですが、日経新聞2013年1月29日、以下の記事が掲載されていました。

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缶コーヒー「ボス」を扱うサントリーホールディングスによると、男女比率は7対3という。ここ数年は大きな変動はない。理由についてサントリーは「今でこそノンシュガーなども多いが、もともと甘い味が特徴。このため外回りの営業マンやタクシー運転手、工事現場で働く人など甘さで疲労感やストレスを解消しようという男性向け商品として定着した」と説明する。
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ガテン系の仕事をしている方や外出機会の多い男性にとって缶コーヒーは、まさに仕事をする上での必需品に近い感覚で購入されていると考える事ができます。


最近(2014年2月)ジョージアやファイアのTVCMで働く男性(特に屋外)にフォーカスされた広告やプロモーションをよく目にしますが、ロイヤルユーザーを維持するためのイメージ戦略と捉えることができます。


缶コーヒーのロイヤルユーザーは外で働く男性で、缶コーヒーに肉体的精神的な疲労を和らげる効果を感じていると考えることができます。


こうした缶コーヒーロイヤルユーザーではない、浮遊層男性が缶コーヒー低迷の要因と考えられます。
デスクワークが多い男性ビジネスパーソンで、これまでレギュラーコーヒーの購入を何らかの理由で買えなかった(頻度が低かった)人達が、レギュラーコーヒーの代替品として缶コーヒーを購入していたと考えられます。
ではそうした層が何故缶コーヒーからコンビニコーヒーへシフトしたのか要因を分析してみましょう。

缶コーヒーをこれまで飲んでいた男性ユーザーがコンビニコーヒーにシフトした要因として 

今まで価格や購買立地の関係でレギュラーコーヒーを買えなかった層が、利便性とコストパフォーマンスの高さによって、コンビニコーヒーを購入するようになっている。そしてその購買行動が習慣化している

と仮説として設定(状況仮説)できます。



(3)状況仮説から潜在ニーズを発掘する

前記の状況仮説から元缶コーヒーユーザーの潜在ニーズを考えてみました。

コンビニエンスストアという従業員のオペレーションレベルの高いビジネスモデルの中で、高機能なコーヒーマシンと良質な素材を使って、100円という価格を実現したコンビニコーヒーにとっては、捉える弱みが見えにくい存在と言えると思います。


ただ上記潜在ニーズにも記載しましたが、どうしても手間のかかる作業を顧客に要求している点は、唯一の弱点と言えると考えます。
缶コーヒーであれば棚から手に取り、会計すれば「すぐに飲める」のに、コンビニコーヒーはコーヒーマシンの前で順番を待ち、セットをして数秒待ち、ミルクを入れて、カップの蓋をとじるという一連の作業が必要です。
この作業を負担してまでもベネフィット(淹れたてのコーヒーが100円で飲める)が勝るという構図です。
価値構造として、エネルギーコスト・経済コスト<実用的ベネフィット ということです。


このベネフィットに打ち勝つには機能上の差異を構築するほかにないと考えます。


例えば「トクホのボス」がそれです。メタボが気になる中年男性にとって「脂肪の吸収を抑えます」というフレーズは「淹れたてのコーヒーが100円で飲める」に勝るとも劣らない訴求ポイントとなります。


あとは伝統的なマスマーケティングの手法ですが、実用的な価値に勝る情緒的価値を広告、プロモーション展開することで植えつけるという方策が考えられます。このあたりは前述の「働くビジネスパーソン」というターゲット設定と、「父親という責任感」「働くという意義」などの訴求が、それに当たります。



(4)コンビニコーヒーに負けない缶コーヒーのコンセプト

一連の分析から、ターゲットは「缶コーヒーを仕方なく飲んでいたがコンビニコーヒーにシフトしてしまった男性」として、商品の方向性としては、仕事中デスクで飲用するというシーンを想定します。コンビニコーヒーはオペレーションを簡略する関係からコーヒーの濃さを調節することができません。ここをついて覚醒作用の強い、仕事に集中できる機能を強化していくというものです。


集中度合を数値化して、「マジ集中」とか「少し気合」、「眠くなってはいけない時に」などの遊び心で展開するというのもアイデアとしては考え付きます。
ただ本質的な機能を謳うのであれば、「トクホのボス」ではないですが、医薬的学術的なエビデンスを取得した展開が有効であると考えます。



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執筆者:蛭川 速 / 2014.02.14