【9】2次データを読み込む

シニア世代の需要を取り込む ① シニア世代の消費実態と傾向

総務省統計局の「統計からみた我が国の高齢者」によると、65歳以上の高齢者人口は3186万人(平成25年9月15日現在推計)で、総人口に占める割合は25.0%とのことです。前年比で、112万人、0.9ポイント増と大きく増加しています。これは「団塊の世代」(1947年~49年に出生)のうち、1948年生まれが、新たに65歳に達したことによるものと考えられます。

マーケティングの分野では、団塊世代の本格的な退職が始まった2012年の数年前から、シニア世代が注目されてきました。人口ボリュームと消費意欲が高い団塊世代が高齢者の仲間入りをするということで、消費財メーカーをはじめとして流通各社とも、シニアに焦点を絞った施策展開をしてきました。
その中で「シニアは貯めるだけで一向に消費しない」と定説のように言われてきました。また「消費しないのではなく、買いたいものがない、自分達に合った魅力的な商品がない」という声も同時に聞こえてきました。
本コラムではいくつかの2次データを組み合わせて「シニア世代の消費の傾向」に迫りたいと思います。

まず総務省統計局の産業活動分析(平成24年1-3月期)「高齢者世帯の消費について」によると、世帯主60歳以上の世帯の年間最終消費支出額は平成23年に100兆円を超え、家計最終消費支出額の約44%に達した、としています。さらに消費支出規模の伸び率及び年齢階級別寄与度の動向を見てみると、60歳以上の世帯は平成13年以降、18年と20年を除く全ての年でプラスに寄与しており、全体を下支えしている、と記述しています。
これらのデータから消費ボリュームの上で、シニア層は、重要な位置づけを占めていることが数字で確認することができました。「シニアは一向に消費しない」というのは数字の面からは否定せざるを得ない状況ではないかと思われます。

ではシニア世帯が消費しているのは、どのような分野でしょうか。産業活動分析によると、高齢者世帯の消費支出額が全年齢平均を上回る品目として、以下を挙げています。


シニア層を60代と70代以上に分けて見ると、60代は園芸品、ゴルフ、旅行など趣味性の高い品目が目立ちます。対して70代は介護やタクシーなど身体的な衰えを補うサービス品目が高いのが特徴として言えます。
70代になると日常生活における活動量がめっきり落ちるということを筆者の周囲で、よく聞くことがありましたが、消費支出面において数字で確認できたことは驚きです。身体的な衰えから、これまでのように活動することが困難になり、それが消費支出にも表れていると考えられます。

次に「これから」どんな分野で消費したいと考えているのでしょうか?博報堂新しい大人文化研究所の“新しい大人世代“のお金に関する意識(2012.8.27)によると、今後お金をかけたいモノ・コトは、男性60代で「旅行・リゾート・レジャー(57%)」「趣味(51%)」「病気・老化予防(31%)」、女性60代では「旅行・リゾート・レジャー(59%)」「普段の食生活(45%)」「病気・老化予防(40%)」とのことです。


今回はシニア層を一括りにして、平均的な消費傾向を追っていますが、シニア層の全体的な傾向としては、このように整理することができます。
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シニア層には時間とお金に余裕がある。会社などコミュニティに属していない
 ↓
だから時間消費(暇つぶし)や、他者とのコミュニケーションが図れるサービスが受容される
 ↓
手っ取り早いのが「旅行・リゾート」「趣味」

◎シニア層の潜在ニーズとして『余裕のある時間を仲間と充実して過ごすコトがしたい』
とまとめることができます。
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もうひとつは「病気・老化予防(男性60代31%、女性60代40%)」「健康・若さの維持・向上(男性60代25%、女性60代33%)」「病気・老化への対処(男性60代26%、女性60代31%)」などの、「身体的な衰え」を背景とした商品・サービスへのニーズが高いことが分かります。

この2つのニーズを掛け合わせた商品・サービスとして「フィットネスクラブ」があります。余裕のある時間を過ごせるし、健康にもいい、更にコミュニケーションも図れるというシニアの顕在、潜在ニーズに合致した代表的な商品という事ができます。
経産省の産業活動分析、平成24年年間回顧「シニア層の健康志向に支えられるフィットネスクラブ」によると、60歳代のスポーツクラブ支出金額は、世帯当たり、1人当たりともに他の年代よりも高く、フィットネスクラブがシニア層のニーズに応えていることが検証できます。


【まとめ】
シニア層の全体的、一般的なニーズを捉えると、「時間消費、コト消費」「コミュニティ」と「身体の衰え解消」というキーワードに集約できると考えます。
上記に関連づけることが困難な商品・サービスを扱っている企業、メーカーについては、冒頭の「シニアは貯めるだけで一向に消費しない」と感じているのではないかと考えられます。
シニアは人口ボリュームもあり、消費欲も高い。シニアの状況(生活シーン)と意識から潜在ニーズを発掘することが需要獲得のポイントと言えるでしょう。

第1回いかがでしたでしょうか?
次回は更にシニア世代の消費を考察するために、シニア世代を「十把一絡げ」とせずに、いくつかのセグメント(タイプ)に分けてデータ収集、分析していきたいと思います。


2次データを活用したシニア世代の考察についてセミナーを開催します。

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執筆者:蛭川 速 / 2013.09.27