【8】BtoBマーケティング

仮説を提案営業に活かす

1.BtoB企業の営業活動が変化している

通信環境の改善によるインターネット速度の短縮化や、タブレット機器などデバイスの多様化などインターネット検索における環境は、飛躍的に良好なものになっている。

そのため企業の購買部門における、商品サービス購入の知識は増加・向上している。これまで新規設備や新規サービスの導入を検討する際には、当該商品、サービスを提供する企業の営業担当の知識に頼ることが多かった。


ところがインターネット検索の環境が良好になることによって、ある程度のレベルまで購買企業側で事前に知識を習得することができるようになっている。

こうした事態は、これまで企業が認識している課題に対して、解決方法を提示する「ソリューション営業」に限界をもたらす。営業担当に聞くまでもなく、顧客がネット検索することで、おおよその部分について解決策を導くことが可能になったからだ。

 

2.顧客ボリュームの移動

図1を見てほしい。ネット環境が整備される前は、マトリクスの右下「ニーズが顕在化しているが、課題解決の知識が低い」に、多くの企業が存在していた。これらの企業に対して、自社商品・サービスを駆使して顧客の課題解決を提案するソリューション営業が有効であった。前述のようにネット環境が有効になるに従って、顧客企業のボリュームは、右下から右上(ニーズが顕在化しており、且つ課題解決の知識も高い)へとシフトしていく。こうした状況では、顧客企業は、少しでも自社に良い条件(価格・納期・支払条件)を持つ企業を選定するということになる。提供企業の商品はコモディティ化してしまうのだ。こうした価格勝負の世界から脱却するには、マトリクスの左下(ニーズが潜在化しており、課題解決の知識も低い)の企業に対するウエイトを増加させていく施策が必要となる。

3.仮説提案型営業

仮説提案型営業では、顧客が欲しいと要望したことに対して、「何故欲しいと思うのか」要因を探索することによって、その背後にある大きな経営課題を仮説として抽出し、課題解決に向けた提案を、仮説をもとに展開していくという提案営業手法となる。

顧客の中には「あなたにそこまで求めていない。言われた商品を提案して欲しい」とする企業や担当者がいるかもしれない。しかしインターネットで情報を収集、自社の課題解決を手掛けている担当者にとって、その道のプロの意見は貴重であり、多くはこちら側が提示する仮説について興味を示すことだろう。

例えば名刺管理のアプリケーションを探し求めている企業の背景としては、顧客管理の見直しや、営業改革といった大きな課題が隠れている可能性がある。そういった背景や購入要因を掴んで、顧客管理のための機能や、メンテナンスの容易さなどを訴求することで顧客との距離を一気に縮めることが可能となる。更に営業改革のためのコンサルテーションの提案やアドバイスをサービス提供することも可能となる。

そうした企業課題を仮説として設定し、その課題を解決するために自社が提供できる商品やサービスを提示することで、顧客の正面に対峙していたポジションから、顧客と同一方向を見て一緒に課題を解決するパートナーとしてのポジションに階段を上がる事ができる。(図2参照)

4.ダイキン工業 化学事業部の取り組み

上記の「仮説提案型営業」を実践、成果を出している企業がある。以下のDHBRの記事抜粋を見て欲しい。

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営業部員が外に出て顧客と会わざるを得ないように仕向けている。訪問件数のノルマを決め、10時から15時は内勤禁止とした。単純に訪問件数を増やすことが目的ではなく、顧客の情報、「所感」を取りに行かせた。

顧客の話しぶりから感じた事、商談中の隣のブースから聞こえたキーワード、顧客の机上の資料など、些細な兆候を感じ取り、「次にこんな新商品を考えているのかもしれない」「ひょっとしてあの国に進出しようとしているのか」といった所感として残す。

同社の営業日報には所感の欄が設けられており、顧客訪問のたびに書き込むことになっている。営業部員のみならず、技術や開発など他部門の担当者とも共有できる。すると「その話は技術にも来ている」「同業他社でも同じことを考えているようだ」という話があちこちから出てきて、所感がつながり始め、所感が確信に変わる。「ならば、この顧客にこんな提案をしてみてはどうか」というように仮説が生まれてくるというわけです。

ポイントは、顧客先からニーズを聞いてくるのではない、ということです。何らかの兆しを感じ取り、そこから顧客自身さえ気づいていない「隠れたニーズ」を掘り起こしていく点が、最大の価値なのです。

ダイキンでは、月に一度、営業、研究、製造、テクニカル・サービス各部門の担当者を集めて、泊まり込みの会合を開き、さまざまな観点から所感を「揉み」、全員で仮説を練り上げていくのです。 DHBR2012.12)より

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BtoB企業では、対象とする企業は少なく、1社のニーズを掴み、課題解決のための商品・サービスを提案する。そうした活動の中では、マーケティングリサーチよりも、顧客との接点の中から、仮説を設定し、都度仮説に基づいた提案をすることで、検証しながらブラッシュアップさせていくことが有効ということである。(図3参照)






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執筆者:蛭川 速 / 2013.06.24