【8】BtoBマーケティング

市場開拓の進め方①

1.はじめに

市場開拓は、既存セグメントにおいて自社と取引関係にない新規顧客、即ち競合企業の顧客に対する「新規顧客開拓」と今までアプローチしていない新規のセグメントに対して自社の既存技術を用いて展開していく「新市場創造」に大きく大別されます。ただ新規セグメントといっても現在事業と全く関連のない市場に対してアプローチしていくことは難易度が高く、戦略展開も別の枠組みで考える必要があります。「新規事業開発」の範疇として別項で解説していきたいと思います。


2.新規顧客開拓

既存セグメントにおける顧客を構造的に整理すると次のようになります。

①既存顧客:自社と取引関係のある顧客で、自社を優先して選択してくれるロイヤルカスタマー(不戦勝)と競合とのコンペによって自社を選定した顧客(コンペ勝ち)に分かれます

②競合顧客:自社との取引関係がなく、競合顧客を優先的に選択する「競合ロイヤル顧客」(不戦敗)と自社とのコンペによって競合を選定した顧客(コンペ負け)とに分かれます。

③潜在顧客:何らかの理由があって自社、競合ともに取引関係のない「白地の顧客」と方針や戦略上全く導入する意思のない「非顧客」に分かれます。

新規顧客開拓では、②競合顧客および③潜在顧客に対して、自社との取引を獲得していただくための活動を中心に考えていきます。

具体的なプロセスは以下の通りです。

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勝敗因分析→仮説立案→環境分析→仮説検証(顧客へのアプローチ)

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【勝敗因分析】下図のように当社と競合企業の市場シェアを分解した場合、無競争で自社が獲得した「不戦勝」や無競争で競合に奪取された「不戦敗」の要因がどこにあるのか?また競争した中で自社が獲得した「コンペ勝ち」、競合が奪取した「コンペ負け」の要因がどこにあるのか?を探索していきます。要因探索は初めから答えを導くのではなく、考えられる要素を全て机上に出していく というイメージでブレーンストーミング形式で行うことが有効です。

【仮説立案】自社を選定してくれた要因(くれなかった要因)を仮説として探索していきます。「自社を選定してくれた」を出発点として何故そうなったのか?を繰り返し問うていきます。このような問題探索の分析(whyツリー)をすることによって、本質的に自社が持つ「強み」や「弱み」を見出すことが可能となります。それは商品の仕様であることもありますが、営業担当者の「商談の進め方」、顧客へ提供している「情報の質や鮮度」など、営業活動に起因することも多く含まれます。漠然と自社の強みや弱みを検討することは困難ですが、営業担当を数名集めて、過去の顧客との取引を振り返ることによって取り組みやすくなります。

【環境分析】自社を選定してくれた(くれなかった)要因の背景として、どのような事象があるのか?「顧客を巡る経営環境の変化要因」を探索していきます。環境分析を行うことによって勝敗因分析からの仮説を肉付けしていくことが可能となります。環境変化要因は「PEST分析」と「5forces」というフレームワークを活用して要因抽出していきます。ここで重要なポイントは、自社の環境分析ではなく、顧客の経営環境を分析するという視点です。顧客の立場にたって環境分析することによって、これまで気付かなかった、顧客が自社(もしくは競合)の商品を選定した要因が浮き彫りになってきます。

【仮説検証】仮説を検証することで、自社の採用する施策の精度を向上させます。仮説検証は、BtoBの場合、顧客へのダイレクトインタビューが有効です。自社のこれまでの取引を振り返り、分析した結果を顧客に直接訴求するきっかけにもなります。また潜在的な顧客のニーズを見出すことも可能となります。

大切なのは顧客が望んでいる事の中で、自社が競合よりも優位に立って解消できていることは、何なのか?自社の強みを見出すことです。営業活動は個人の活動内容に依存することが多く、埋没しているのが現状です。成功要因もしくは失敗要因から、それらの活動を「見える化」することによって、戦略的な活動を展開していくことが可能となります。

執筆者:蛭川 速 / 2013.06.01