【5】団塊シニア男性の消費を活性化させるには

①定年後の充実した生活の必要要件

日本人男性の標準的なライフスタイルを大きく分けると仕事の有無が大きく関係している。①幼少・学生時代(0歳~18/22歳程度)②就業時代 (19歳/23歳~60歳)③定年後(61歳~)に分けられる。ほとんどの男性が②就業時代の占める時間的割合が最も多く、それ以降(③定年後)も②の習 慣や意識や行動に大きく影響を受ける。団塊世代に詳しいシニアライフアドバイザーの松本すみ子氏いわく「見知らぬ団塊男性2人が出あった時にはお互いに腹 の探り合いをしている光景をよく見る」とのことで、定年前の業種や役職、企業規模などから相手を見定めることから始めるので打ち解けるのに時間がかかると のこと。格が上かどうかは当人同士で認識するので、自身が格下と認識した方は遠ざかるようになり、自身が格上と判断した方は「下に見る」物言いをする。サ ラリーマン時代の熾烈な競争社会を生きてきた悲しい性といえる。このような「就業時代の格」の呪縛に囚われている団塊世代が多いようだが、呪縛から解き放 たれた男性は、どこに行っても楽しく過ごすことができ充実した生活を送っている。


団塊世代へのグループインタビュー調査(2012年6月実施)から、定年後充実している男性の共通項を見出した。

【図13】

呪縛から解き放たれるには「自分の居場所」を確保しなければならない。これまでは自分の言う事を何でも素直に聞いてくれる部下のいる「会社」があっ たが、定年後にはない。一つには家庭での役割を持つこと。特に妻との関係を上手に維持することが必要である。これまでは亭主関白で通っていたが、「毎月の 生活費をもたらす給料がない」以上、今までとは異なった役割を持つことが必要となる。仕事もしていないで日中からゴロゴロしている亭主は相手にされないこ とは想像に難くない。
もう一つは、男性特に日本人は「仕事」が大事ということ。ある団塊シニア男性によると定年後、数か月は「無限と思える時間を楽しんで、自分の好きなことを しているが、その後必ず時間を持て余し、軽いノイローゼになる」と言う。どんな仕事でも自宅を出て通うところがあるのは貴重であり生活のリズムを作るうえ で重要である。趣味があるとは言っても1週間毎日趣味に興じている訳にはいかない。趣味仲間と過ごす時間は貴重だがやはり仕事を通じた仲間との会話や飲み 会は楽しいようだ。
最後に趣味。自分が時を忘れて夢中になれるモノを持っている人は充実している生活をしている。仕事と家庭だけでは息詰まってしまう。自分が楽しめる趣味を 持つことは充実したセカンドライフにおいて必須と考える。仕事のウエイトが減って、いずれパートやアルバイトも辞める時期が来た時の心の拠り所は必要とい うことである。
これら3つの要素を充実させている団塊シニアは、いきいきとしており正に「アクティブシニア」と言える。

執筆者:蛭川速 / 2012.11.09