【2】ヒット商品の状況仮説を考える

④ノンアルコールビールを飲む理由

ノンアルコール飲料の市場が伸びています。サントリー推定によると2011年は約2830万ケースと、2010年と比較すると31%増加しています。


ノンアルコール飲料を何故飲んでいるのでしょうか?お酒の好きな私の感想ですが酔えないビールやチューハイがここまで増加しているには何か理由があるよう に思えます。単に車の運転がある時にビールやチューハイの代替品ということで好まれているだけではないような気がします。

では実際にノンアルコール飲料を飲んでいる人はどのような年代の人達なのでしょうか?カスタマー・コミュニケーションズのレポートによると、お酒を 飲んでいる属性とほぼ同じ比率をしめしており、ビール系飲料でいうと30代、40代、50第、60代とほぼ万遍なく飲まれています。

またアルコール・ノンアルコール併売者も増加しているというデータもあります。(カスタマー・コミュニケーションズ集計。2010年1月1日~2011年12月31日集計期間)

ノンアルコールビールの飲用シーンをみると、1位が夕食中で54%、2位お風呂上りで35%、3位くつろいでいるとき24%と続きます。また飲用理 由をみると1位がアルコール0.00%だから53%、2位がビールの味が楽しめるから36%、3位お酒の気分が楽しめるから34%ということです。(食品 と科学2011.5より)

ここから仮説として、お酒をもともと飲める人が(お酒を飲んでもいいのだが)リラックスしたい時けどあまり酔いたくないというシーンでノンアルコール飲料を飲んでいるという状況が浮かび上がります。

このコラムを書くに際して実際にノンアルコールビールを買ってきて飲んでみましたが、強い炭酸と大好きなビールの風味が味わえ、爽快感が得られ、と てもリラックスできる気分に浸れました。(午前11時でしたから1本で済みましたが夕方であればもう少し飲みたい気持ちになったでしょう)

宴席だけでなく日常生活でリラックスしたい時の飲料として、お酒好きな人の日常生活にマッチしたことが市場拡大の大きな要因であると考えられます。

問題は前掲の20代です。ビールを飲まない若者が増えているのは周知の事実ですが、アルコールフリーのノンアルコール飲料も受け付けていないという ことです。このことからも、お酒をもともと飲まない人には刺さっていないカテゴリーであると類推できます。お酒をあまり飲まない20代には「リラックス= 酒→でも酔いたくない」という図式以外のベネフィット訴求が求められます。確かALL-FREEのCMでは,榮倉奈々さんと三浦友和さんが親子で過ごす時 間を楽しむという世界観が描かれていましたが、20代の若者の気持ちを掴むにはまだもう一工夫必要ということでしょうか?

執筆者:蛭川速 / 2012.10.20