【2】ヒット商品の状況仮説を考える

③ユニクロの顧客戦略_2

前回に引き続きユニクロの顧客戦略について考えてみましょう。マイボイスコムが行った調査(2009年9月。n=14,108)によると、ユニ クロ商品を購入した理由は多い順で、①価格が割安である89%、②シンプルで飽きない32%、③定番アイテムが買える29%、④カラーバリエーションが豊 富29%となっています。ファッションに物凄く力を入れているというより気軽に楽しんでいるという状況が想像できます。ここからユニクロのロイヤル顧客像 として「清潔感やナチュラルなイメージを大切にしていて流行のファッションよりベーシックなファッションを心掛けている人」が浮かび上がってきます。


ではZARAはどうでしょうか?同調査によると、ZARA商品を購入した理由は多い順で①価格が割安である44%(同ユニクロ89%)、②デザイン がよい38%(同ユニクロ6%)、③自分の趣味に合う商品がある34%(同ユニクロ12%)、④センスが良い28%(同ユニクロ4%)、⑤ファッション性 が高い27%(同ユニクロ2%)、⑥トレンド性が高い、流行を取り入れている25%(同ユニクロ3%)となっています。ユニクロ購入理由と価格の魅力以 外、大きく差異があることが分かります。ここからZARAのロイヤル顧客層として「自分のセンスを信じて流行のデザインを取り入れてファッションを楽しむ 人」と想定することができます。

このZARAのロイヤル顧客層に対して、ユニクロのコンセプトは刺さっていないと考えられます。またユニクロも自社の顧客として対象としていないのではないかと考えることができます。

よくユニクロはSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)していないと言われていますが、そうではなくカジュアルファッション に対する考え方という変数(切り口)によって、しっかりとセグメンテーションしているのです。自社を支える顧客はどんな嗜好をもって、何を求めているのか 把握し、それに応えていることが分かります。そういったことを起点として幅広い顧客層に対して適合させるために、同一店舗でそれぞれの顧客層のニーズに対 応するために店づくりや商品開発していると考える事できます。

例えば若い女性で外出着はブランド物を着ているがインナーはヒートテックとか、バーベキュー行くときはユニクロのカジュアルとか。40代既婚男性はホームウエアのみユニクロとか。

幅広い年代のカジュアルウエアに対する個別のニーズや生活シーンを細かく分析し、それに応える商品を開発している。但し流行やデザイン面を強く求め る顧客層のニーズは取り込まない。といった考え・方針がしっかりしているため、顧客の期待を裏切らない強固なロイヤルティが醸成されていると考えられま す。

いかがでしたでしょうか?前回と今回の仮説を設定するのにかけた調査コストは0円です。自社の顧客を分析するのにいきなりマーケティングリサーチから始めていませんか?

マーケティングリサーチは多大なお金と時間を要します。2次データをベースとした仮説をしっかりと構築することによって精度が高く且つスピーディーな戦略構築を実現することができます。

次回は仮説設定のプロセスについて解説していきます。

執筆者:蛭川速 / 2012.10.07